2020年能勢淨るり月間 ONLINE


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生写朝顔話−明石浦船別れの段、宿屋の段、大井川の段

古典演目/2016年6月能勢淨るり月間「能勢人形浄瑠璃鹿角座公演」より

作:山田案山子(近松徳三の別号)遺稿、翠松園主人校補

 物語の原拠は司馬芝叟の長編小説「蕣(あさがお)」であると考えられています。また、後に刊行された読本「朝顔日記」も大きな影響を与えたと言われています。

 まず、歌舞伎として「生写蕣記」や「けいせい筑紫のつまごと」などが上演され、それらをもとに書かれた浄瑠璃がこの物語です。

 5段続きの時代物で、細かくは17段に分かれています。大内家のお家騒動を背景に、深雪(朝顔)と宮城阿曾次郎(駒沢次郎左衛門)の若い二人がすれ違う恋物語です。

明石浦船別れの段

●これまでのあらすじ●

 宮城阿曾次郎は、宇治川の蛍狩りで、川岸の屋形船に乗っていた深雪と出会い、二人は互いに想いあうようになりました。しかし阿曾次郎は、伯父の頼みで急いで出発することになり、扇に書いた〝朝顔〟の歌を自分だと思い、また会える日を待っていてほしいと言い残し、二人は別れるのでした。

 

●上演あらすじ●

 明石の浦で風を待つ宮城阿曾次郎の船。やがて琴の音とともに朝顔の唱歌が聞こえてきます。この歌は、阿曾次郎が宇治の蛍狩りで初めて深雪と出会ったときに書いたものでした。宇治での別れから偶然の再会でした。ここで逢ったのも縁。一緒に連れて行ってほしいと言う深雪に、阿曾次郎はそれでは武士道が立たず、縁あればまた逢うこともあるとはずと言います。この言葉に、身を投げて死のうとする深雪。それほどまでの深雪の思いに阿曾次郎は一緒に連れ退く決心をします。そこで親たちが心配しないよう書置きをするために深雪は元の船に戻りますが、大風が吹き出して、風待ちをしていた阿曾次郎の船は出航してしまいます。慌てる深雪は、扇を阿曾次郎の船に投げ込むのでした。

宿屋の段、大井川の段

●ここまでのあらすじ●

 宮城阿曾次郎は、宇治川の蛍狩りで川岸の屋形船に乗っていた、秋月弓之助の娘深雪と出会い、互いに恋心をいだきますが、阿曾次郎の出奔で別れ、偶然出逢った明石浦でも再び離れ離れになってしまうのでした。深雪は家出をして、阿曾次郎を探し泣き暮らすうち盲目となり、島田宿で朝顔という名で琴唄を歌い聞かせる身の上となっていました。

 

●上演あらすじ●

 島田宿に逗留する駒沢次郎左衛門は、座敷の衝立に書かれた朝顔の歌を目にし、亭主の徳右衛門に尋ねます。話を聞いた次郎左衛門は、‘わが妻か・・・’と、胸の高鳴りを押し沈めながら、琴唄の女を呼ぶよう頼みます。やがて招かれた瞽女(ごぜ)は、名前を朝顔と改めた深雪でした。琴にあわせて朝顔の唱歌を唄う深雪に、同席する岩代の手前、名乗ることのできない次郎左衛門でした。そして徳右衛門に扇と目薬、金子を託して旅立ちます。そんな中、もしや夫ではないかと気にかかった深雪が宿に戻ると、次郎左衛門からの託け物。やはり阿曾次郎であったとあとを追う深雪。しかし雨のために大井川は川止めとなり、絶望した深雪が川に身を

 投げようとしたとき、薬を持った徳右衛門と奴関助が追いつき深雪を助けます。実は徳右衛門は秋月家の旧臣で、恩義のため切腹し、その生き血を薬に交ぜて深雪の眼に点すとたちまち両目が開くのでした。